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2015年8月のアーカイブ

2015年前期 空間デザインコース3年前期課題 施設設計製図B 宮城大学付属現代美術館 作品展示会開催のご報告

2015年前期 空間デザインコース3年前期課題 施設設計製図B 「宮城大学付属現代美術館」 作品展示会が、宮城大学大和キャンパスブリッジ棟2階の回廊ギャラリーにて開催されました。
この回廊ギャラリーは、ブリッジ棟のメインギャラリー(通称亀倉ギャラリー)とあわせて、今年度よりデザイン情報学科の学生作品展示のため展示用テーブルなど整備をしています。

7月26日に開催されたオープンキャンパスでも、学外からの多くの来場者の方にも学生作品を見ていただくことができました。

会期:2015年7月21日〜8月7日
会場:宮城大学大和キャンパスブリッジ棟2階の回廊ギャラリー
展示作品:2015年前期 空間デザインコース3年前期課題 施設設計製図B 「宮城大学付属現代美術館」  12作品

            
課題内容:

宮城大学付属現代美術館

課題趣旨
宮城大学が宮城県と共同し,泉パークタウン周辺の諸施設と連携して文化活動の活性化をうながすことを目的とした,宮城大学付属の現代美術館を計画する.
近年,地方自治体や公共団体が現代美術館を設置し,地域の住民の参画をともなった文化活動を展開する動きが活発である.単に美術作品を展示・鑑賞するための場としてではなく,地域の人たちとともに作品の制作や展覧会の運営,ワークショップなどの開催し,地域外の人たちとも多様なコミュニケーションを展開しながら芸術創作活動を軸とした相互交流の活動拠点を設ける動きである.
今回は,東北地方の重要な教育研究・地域貢献の役割を担う宮城大学が,様々な文化芸術創造活動のための知の拠点として,宮城大学付属現代美術館を計画し,地域に開かれた大学のシンボルとして,また地域の人たちと大学関係者が共同して魅力的なアクティビティーを進めていくための活動拠点を設計する.
さらには.周囲の人々の関心を集めつつ.宮城大学の学生がともに創作活動を実践できる場としての役割を担うことも期待される.
本設計課題では,美術作品を展示する空間の基本的なプロポーションは前提条件として与えられている.その理由,根拠を各自でしっかり考察し,それぞれの空間の関係性や機能性,演出効果や美術館としてのプログラムをどのように構築していくか手順を追って学ぶ.さらに,様々な条件を満たしつつ,魅力的な建築設計に仕上げていくことを身につけてほしい.
宮城大学大和キャンパス北側の造成済み区画を敷地とする.

設計条件
現代美術を展示する主要施設を設け,美術館としての開かれた公共施設としての運営や教育研究活動を宮城大学やその他の施設と連携して行うことができるプログラムを考えること.
丘陵部にありながら,造成され平坦な敷地を設計にいかすこと.
宮城大学大和キャンパスの既存施設との関連を十分に考慮すること.
宮城県図書館など,周囲の公共施設,パークタウン内の諸施設についても十分に考慮すること.
地域の文化施設として,地方大学の活動拠点としてのキャンパス計画との関連を考慮すること.
宮城大学キャンパス内からのアクセスを考慮すること.
自然災害などの非常事態に対し,十分な配慮がなされた計画を行うこと.
設計にあたっては以下の手順に従い,この美術館に必要な空間やシークエンスを立体的に考えること.

設計手順
⬜︎ 主要な展示空間を4つのボリュームとして提供する.この施設をまとめて「カテゴリーA空間」と呼ぶ.
⬜︎ ボリューム1: 18m(D)×20m(W)×15m(H) の現代美術の展示空間(内寸)
  ボリューム2: 15m(D)×10m(W)×10m(H) の現代美術の展示空間(内寸)
  ボリューム3: 20m(D)×30m(W)× 8m(H) の現代美術の展示空間(内寸)(可動間仕切必須)
  ボリューム4:10m(D)× 8m(W)× 6m(H) の現代美術の展示空間(内寸)
⬜︎ 上記の寸法はすべて内法であるので,各ボリュームの空間を成立させる構造体などが必要であるが,この構造体については,設計者は適宜判断の上,主要構造などを決定すること.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」(ボリューム1,2,3,4)の床レベルは同一とし,段差を設けない.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」のそれぞれには来場者,作品のための開口部を設け,動線やサービス施設との関係を十分に配慮した計画とする.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」は展示のための理想的な内装意匠を考え,自然光,人工光をバランス良く採用する工夫を行う.展示される作品には直接太陽光があたらない計画を行う.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」に展示は常設展示,企画展示の両方を想定する.展示する作品については各自が想定し,作品に関するリサーチもこなって設計に反映させること.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」における各ボリュームの空間を成立させる構造や設備を考慮し,建築の設計に必要な延べ床面積などを算出すること.
⬜︎ 上記のボリュームの他に「カテゴリーB空間」として「カテゴリーA空間」の延べ床面積を超えない範囲での施設計画を行う.
⬜︎ 「カテゴリーB空間」の所要施設としては,エントランスホール,ギャラリー,映像展示施設,カフェ,ミュージアムショップ,ライブラリー,ワークショップ,会議室,動線空間,トイレなど美術館が来場者に提供するサービスに供する主要な施設を計画する.「カテゴリーB空間」では常設展示は行わず,多様な活動を引き受けるためにフレキシブルな利用が可能な空間を考えること.
⬜︎ 「カテゴリーA空間」「カテゴリーB空間」以外の施設のために「カテゴリーC空間」として,その他に必要な施設を設計すること.その床面積は「カテゴリーA空間」「カテゴリーB空間」の床面積の合計の50パーセント以内に相当する面積を充当させる.主に,機械室,バックヤード,作品保管庫,荷解き室,事務室,裏方の動線,スタッフ休憩室などである.どのような機能が必要かは美術館の事例をリサーチし,計画の中に反映させること.
⬜︎ 施設全体の延べ床面積は「カテゴリーA空間」の床面積の300パーセントまでとする.
⬜︎ それぞれのカテゴリーの意味や役割,関係性を良く考えて計画と面積の配分を行うこと.
⬜︎ 授業では各自が制作した模型,スケッチ,ドローイング,メモ,コラージュなどをもとにチュートリアルを行う.
⬜︎ 立体的空間思考を進めるための手順として,ボリューム1,2,3,4のマス模型を各自が作成し,そのマス模型を手掛かりに空間を考える.スケールは1/200を目安とする.


スケジュール
0409 Day 1 課題説明,現代美術に関する講義(Day2までに敷地に関するリサーチ,ボリューム1,2,3のマス模型作成,空間構成を検討,敷地模型を作成)
0416 Day 2 ボリューム1,2,3,4のマス模型を敷地模型に配置し,各カテゴリーの空間の考え方について3グループに分かれてディスカッションを行う.
0423 Day 3 インテンシヴ・インディビジュアル・チュートリアル・セッション(以下IITS)No1.各自少なくとも2名以上からIITSを受けること.
0507 Day 4 IITS No2. 各自少なくとも2名以上からIITSを受けること.
0514 Day 5 3グループに分かれて設計内容のプロセスレビューを行う.
0521 Day 6 IITS No3. 各自少なくとも2名以上からIITSを受けること.
0528 Day 7 IITS No4. 各自少なくとも2名以上からIITSを受けること.
0604 Day 8 ブリッジ棟展示空間に展示,講評会

提出物 建築設計のプレゼンテーション(一般的には模型,ドローイングなどを最終成果として仕上げたもの)
作品はすべてデータ化し,課題終了後に別に提出すること.(立体表現はデジタルイメージ,平面表現はPDF)

評価方法
⬛︎ プロセスレビューでの評価
⬛︎ IITSにおけるディスカッションの内容
⬛ 展示,講評会での作品評価 を総合して評価する

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スペシャルレクチャー講師 松浦寛樹氏より メッセージ

2015年7月30日に宮城大学に来校され、メディア表現の授業にてレクチャーをしてくださった、松浦寛樹氏よりメッセージをいただきました。
大変素敵なメッセージで、DECADEへの激励の言葉も添えられていました。

ご本人のご了解をいただき、転載いたします。(8/14に横浜で開催されるレクチャーのお知らせも文末にあります。)

=====以下、転載=====

先日は仙台でお世話になりました。初めての仙台、宮城大学、共にすごく好印象です。もちろん牛タンも。
突然のお願いからの迅速な段取り、本当にありがとうございました。

正直はじめ学生たちを見た時にどこまで僕の話が届くのか、というよりそもそも興味があるのかさえ疑問でしたが数人からとても熱いメッセージ受け取りました。彼らの役に立ちたいです。僕も若いころいろいろな方々に助けられ(という人として初歩的なことを自覚したのはまだ最近のことですが)ここまでやってきたので僕のできる範囲内で彼らを応援したいです。想像するに僕に直接フェイスブックでコニュニケーションをとってきたのはかなりガッツのあるレアな輩ではないでしょうか。気後れしているシャイな学生たちがいるはずなので千彦さんのほうから是非焚き付けてやってください。「松浦くんが全然フェイスブックの友達リクエスト来なくて寂しいって言ってたぞ!」と言ってやってください。

僕にアタックしてきた男女一人ずつの学生には書いて送ったのですが、もし海外に興味を持っている学生がいたらやってみるといいことが私見ですが2つあります。1つ目は奨学金を調べてみること。僕がオランダ入りをしたころと今とでは時代が変わりました。コニュニケーション能力(英語力含む)がとても高いレベルとは言えない日本人が即給料をもらうことはとても困難な時代です。あと奨学金を取ったという事実そのものが自己オーガナイズ能力がある人間であると事前に評価されます。あともう一つは英語力ですが、これはコミュニケーション能力とセットで一気に上達させる方法があります(これまた私見ですが)。仙台に住む外国人と友達になることです。在日外国人がよく集まるスポットでバイトしてそこで見つけるとかできるはず。彼らは日本語の上達をもれなく全員望んでいるので言語のexchangeで受講料はもちろん無料。「YOUは何しに日本へ」を観ればヒントは山ほど出ていますよね。

頂いた本、完読させていただきました。皆さんから飽きるほど言われていることと思いますが、あえて言わせてもらいます。感動しました。
僕はどちらかというと大学というのを今まで軽視していたところがあったと思います。どこかでアカデミックなものは実質的ではないように長い間思っていました。自分の狭い経験からの浅はかな考えです。この本は僕の大学観を根底から覆してくれました。ありがとうございます。大学っていうのはすごいことができるところなんですね!

千彦さんがなぜ学生達から慕われているかよくわかりました。実は千彦さんが席を立った時に学生達に「千彦さんっ正直どう?」って聞いたんです。「かわいいです」との答え。「宮城大学のゆるキャラってこと?」の質問に「そうです!」とのこと。羨ましいかぎりです。

長文失礼いたしました。これからも末長くお付き合いよろしくお願いします。

松浦寛樹


ps. 横浜でのレクチャーのお誘いです。内容的には宮城大学での講義と随分被っているので千彦さんにはちょっとどうかなと思ったのですが一応誘わせていただきます。児島さん来てくれるそうです。(以下抜粋)

8月の14日(お盆の真っ只中ですが)建築家御三方、杉千春さん(主催)、横河健さん、新井今日子さんの計らいで僕がオランダで主に生業としている「都市計画、アーバンデザイン」についてレクチャーをさせていただくことになりました。このイベントに是非お誘いしたいのですがいかがでしょうか? 突然に決まったことなのでお盆の真只中になってしまいしかも急なお誘い面目無いですが、もし来ていただけたらとても嬉しいです。

場所は横浜にある横河設計工房のギャラリーとなります。時間は17:00開場。当日はケータリング、ドリンク有りということもあり、それらを込みで少々参加費をお願いすることになります。(詳細は近日中にチラシと共にお知らせします)

横河さんの素敵なアイデアなのですが、涼みながらそして飲みながらの肩肘張ら無いレクチャーにしようということになりました。

スペースを考慮すると人数制限が必要とのことなので、もしご同行者希望であればそれも含め、不躾ですが早めのお返事をいただけると幸いです。唐突なお誘い失礼いたします。

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松浦寛樹氏レクチャー@メディア表現

2015年7月30日(木)、メディア表現の授業最終回にオランダの第二の都市、ロッテルダムで建築家、都市デザイナーとして活躍する松浦寛樹氏をお招きし、スペシャルレクチャーが開催されました。
受講生にも当日のお知らせとなり、少々驚いていた様子でしたが、ヨーロッパで多くのプロジェクトを進め、建築、ランドスケープ、都市デザインの領域で幅広くデザイン活動を展開する松浦氏のお話は大変刺激的で、レクチャー終了後の質疑応答でも熱心な議論が展開しました。

都市計画、アーバンデザインとは一体何か?

「都市計画」「アーバンデザイン」という言葉は耳にしたことがあると思いますが、まだあまり日本では一般的に馴染みのある分野ではないと思います。実は、今までこの分野の活動を民間の企業を巻き込み盛んに行っていた国はヨーロッパと北米の幾つかの国を除いて他に見られませんでした。しかしここ近年この分野の活動が世界のいたるところで急激に重要視されるようになってきました。止まることのない都市部への人口の集中とそれに伴う土地の枯渇、膨れ上がる車の渋滞問題、開発ラッシュに伴い放っておくとキノコのように次々と現れる建築モンスター達、いつの間にか消えてしまったかつての美しい景観や町並み、なんとか自分の都市に人を呼び込み、とどまらせようと躍起になる自治体間の熾烈な競争、実質的かつ政治的に要求される緑や水の環境改善、数えればきりがないほどの要因がこの動きに拍車をかけています。

「都市計画」「アーバンデザイン」は多々の諸条件の中で行われます。たとえば人口の推移の予測とそれに伴う住宅マーケットの動向、経済状況の推移とそれに伴うオフィスや商業施設の需要の動向, 交通問題の改善や駐車場の確保、土地の利権問題、公共空間や自然環境改善に対する小さめの予算と大きな要望、長めのスパンで考える行政側と任期のスパンで考える政治家とのギャップ、次々と入れ替わる「責任者」。つまり流動的に変わる諸条件を相手に、例えるならば、時折吹き付ける強風の中、屋外で速乾性ではない接着剤を使いながら、次々と変更を繰り返す設計図を持って、急かされながら紙で大きな模型を作るような作業です。

しかし実はこの複雑に入り組んだ状況も、時と場所に関わらず幾つかの普遍的な事実に還元することができます。
「儲けが少なすぎると誰も投資しない」
「アクセスできないと、人は来ない」
「車を上手くさばけないと住環境は良くならない」
「すでにあるものをうまく活かせばコストダウンを見込める」
「新しさ、古さは相対的な価値である」
「どこに住むか、どこで働くかは元来決められていない」
「美しいモノ、気持ちの良いモノは誰もが好む」

18年に及ぶオランダを拠点にした私の実務経験から、東西ヨーロッパ諸国とロシアでの、都市計画、アーバンデザインの プロジェクトの実例を元に、この分野で一体何が起こっているか、そしてこの分野の活動がどのように建築と密接に関係しているのか、していないのか、出来るだけわかりやすくお話ししたいと思います。

MAXWAN (マックスワン) 代表
松浦寛樹

また、レクチャー後には、宮城大学デザイン情報学科機関誌の DECADE 編集チームによるインタビューが行われ、レクチャーではお話を聞くことができなかった昨今のヨーロッパ事情、松浦氏の学生時代のこと、これからのデザインのことなど、さらに興味深いお話をお聞きすることができました。

スペシャルレクチャーとインタビューの内容につきましては、来春発行される DECADE+9 に掲載が予定されています。
インタビュー終了後に DECADE 編集チームより DECADE+8を贈呈しました。 

松浦寛樹氏 略歴

建築家・都市デザイナー MAXWAN (マックスワン) 代表

1973年東京都生まれ / 1996年東京藝術大学美術学部建築科卒業 / 1996年 West8 Landscape Architects (オランダ) / 1997年 MAXWAN Architects + Urbanists (オランダ) / 2004年MAXWAN Architects + Urbanistsのパートナー、共同経営者に就任 / 2015年 MAXWAN運営の傍らMASA Architects (オランダ) 設立 / 現在MAXWANにて都市計画、アーバンデザイン、ランドスケープデザイン、MASAにて建築設計、インテリアデザインの業務を行う/各教育機関での非常勤講師 (デルフト工科大学, ベルラーヘ・インスティュート, Rotterdamse Academie van Bouwkunst)

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